『大地と歌う』台湾少数民族アミ族 Suming Rupi〜スミン〜来日緊急追加公演


 K氏が池袋で新しいライヴハウスを始めたとお知らせをいただいたので足を運んで来た。名前は『鈴ん小屋(りんごや)』(サイト)。 池袋に月1は行くようになって1年半程。最近ようやく地理が分って来たけど、鈴ん小屋のある、池袋東口の六叉路近辺は街の外れ感があって一瞬迷った。小さな看板を確認し、階段を下りると「ここで靴を脱いで下さい」と。いきなり度肝を抜かれた。おうちですか? 入って見ると、確かにおうちっぽい。このライヴハウスは、料理も会場もオーガニック系。


 中に入ると、スミンさんの演奏は既に始まっていた。台湾一人観光局長で通訳担当の青木由香さんと一緒に、アミ族の文化とスミンさんのバックボーン、曲の紹介を交えつつ、素朴な歌が続く。池袋(私の池袋のイメージはくすんだ色の街)の地下のちいさなライヴハウスの中に流れる彼の音楽は素朴で、美しい心そのままのような、清々しい風のようだった。


 途中、「花嫁さんみたいに、お色直しで着替えて来ますから、ちょっと(青木さん)喋ってて」と言って、スミンさんは袖にはけた。そんな切り出し方って!とちょっとびっくりしたけど、あれが台湾流? それとも“彼らしさ”なのかな。面白かった。アミ族の中でも、土地土地によって民族衣装が違うらしく、それを紹介してくれた。民族衣装って、本当にきれいなものが多いと思う。着たのはお祭りの衣装なのかな。カラフルだった。


 小さなギターで、ピアノで歌い、笛を二つ使って演奏し、口に挟むような民族楽器の演奏もした。ライヴの中盤辺り、歌が乗って来た所で不意にカウンセラーにの言葉が頭に浮かんで来た。「(絶望と混乱の中で、道を誤らずに済んだのは)音楽に支えられていたんですね」。その時は、そうなのかな、と思ったけど、その言葉が私の中で確信に変わった。そうだ。私は、音楽にすがって生きていた。立っている事すら難しかった時も、彼女は私を支えてくれていた。私は、感謝の気持ちで胸がいっぱいになった。もっと、もっと、感謝しなくてはいけないような気分になった。ありがとう!


 帰りにCDを買い、スミンさんにサインをしてもらった。本当は握手をしてもらいたかったけど、大量にエネルギーが傾れ込んで来そうだったので、口に出すのをやめた。 前に、こんな体調の時に菊地さんと握手をして(たぶん、それが原因だと思う)、4時間後くらいに倒れたから。ともかく、思いがけず素敵な夜だった。