香り依存

 確実に香水を付ける量が増えた。香水を付けなければ、呼吸が出来ないのに、付ける事を禁止されていた。何度も不毛な言い合いをした結果、自室の奥でコットンに付けた香水を、こっそり肌に移し、逃げるように家を出る。それが私の毎日だった。

 「臨時収入があったんだよ」と言うTに、「じゃぁ、今度ご馳走してよ」と女の子みたいに言ってみた。Tは「じゃぁ、使わずに取っておくよ」と笑って答え、私達はすぐに会う日にちを決めた。私は「奢るから食事に行こう」と言う誘いに、相手によっては「見下すな!」と逆切れする本当に可愛くない女なのだが、たまにこういう事も言うのである。

 「サボって切り上げてきた」と待ち合わせ場所に現れたTもまた、香水の量が増えているようだった。同じ香水を毎日使うからだろう。Tは、何処かの女に貰ったと言う女物の香水、エンジェルハート*1を付けていて、「夜の女の匂いがしていいでしょ」と言った。Tからするからだろうか落ち着く香りだと思った。そう言えば、菊地さん愛用のエンジェル*2も女物だ。

 エンジェルハートを調べていて、偶然にYves Saint Laurentのパリ*3が何年に発表されたかが分かった。1983年だった。私の記憶が正しければ、私と“パリ”の出会いは、1989年だったように思う(この間の日記で、13年と書いたけど、訂正します)。えー、約17年も前?! その年に発売された香水のミニムックで、彼女は人気の香りTOP3に選ばれていた。そこに書かれていた香りの説明文に私は魅了され、海外旅行に出かける両親のお土産にお願いした。ムックには、50mlの丸いボトルの写真が載っていたのだけど、苦労して買ってきたと言う父が持ってきたのは、30mlの三角のボトルだった。私は小さくガッカリした。三角のボトルは自立しないので、机に飾りづらかったし、とても少ししか入っていないように見えたから。とはいえ、実際にこの香水を私が使いきるのに、確か5年以上かかったと思う。当時は、香水の推奨使用期限が3年だなんて知らなかったし、途中いくつも浮気をした。今、私が使っているのは3本目で、30mlの次に買った50mlまで、間が2年は開いてると思う。

 去年や一昨年は特に戦闘モードだったからか(苦笑)、ユニセックスやメンズの香りばかりを付けていたが、最近は所謂女の香りに戻ってきた。とはいえ、オリエンタル*4を自分で付ける程は大人に成りきれてないのだけど……。でもまぁ、あれは40代以降だよね。
                 
 パリが好き。このブログを読んで、私も凄く共感しました。帰ったらトラックバックしようかな(笑)。

2006年限定、パリ オーデプランタン ローズデヴェルジュ
http://blogs.dion.ne.jp/fragrance_fleur/archives/3225284.html

*1:トップノート:オレンジ、マンダリン、アプリコット/ミドルノート:ラム、イランイラン、ローズ、アイリス、リリー、ジャスミン/ラストノート:サンダルウッド、ムスク、バニラ、ベチバー

*2:トップノート:ストロベリー、カシス、ベルガモット、デューベリー etc/ミドルノート:ジャスミン、スズラン、ローズ、ハニー/ラストノート:バニラ、カラメル、サンダルウッド、ムスク、アンバー、パチュリ

*3:トップノート:ベルガモット、オレンジブロッサム、ヴァイオレット、ナスタチウム/ミドルノート:メイローズ、ミモザ、アイリス、ホーソン/ラストノート:サンダルウッド、ベチバー、オークモス、ムスク

*4:・ブルガリ:ブルガリ・ブラック ・クラランス:コントラディクション、オブセッション ・ゲラン:シャマード ・資生堂:タンタトゥリス ・エリザベスアーデン:フィフスアベニュー ・ジャンポールゴルチエジャンポールゴルチエ ・ゲラン:ジャッキー ・カルバンクライン:シャリマー ・イブ・サン・ローラン:オピウム ・キャロン:ナルシス・ノアール ・シャネル:ココ ・クリスチャン・ディオールプアゾン ・ランコム:トレゾァ ・ロシャス:ビザーンス ・ゲラン:サムサラ等