ライヴ2週間前練習

 朝、準備をしてさだるの練習に出掛けるぞ!と言う、まさにその時になって、諦めつつも待っていたSIMONさん作成のオケが宅配便で届く。届いてしまったらもう、リッピングして松村君に渡すしかないです。今日の夕方の練習時に渡せたらお互い助かるのです。

 さだるの練習を終えて、遅めの昼食を食べ、グッズを作る為の材料を買い足しに、ユザワヤ蒲田店へ。ユザワヤでは仕事の為の買い物もするけど、個人的な買い物が本当に楽しい。私は殆ど裁縫はしないけど、布って本当に沢山の種類があって、柄や素材を見ているだけで面白い。大学生の頃の恋人がテキスタイルデザイナーをしていて、その頃は出掛ける先で見る、あらゆる布の素材や作り方を説明してくれながら買い物をしたけど、内容は殆ど覚えていない。糸の縒り方とかについて話していたなぁと、ぼんやり思い出すけど、今は彼が縦糸を指した指先の四角い爪の形しか覚えていない。そもそも、その四角い爪が彼の物だったにも自信がない。

 今回は、Princess Puddingの衣装を担当している胡摩ちゃんが、私の衣装も一緒に作ってくれるとの事で、私が今衣装の事で考えているのは、合わせる手袋の事ばかり。黒いレースの長い、模様の小さな手袋を探しています。何ヶ月も探して歩いているけど、無い。冬だからかな。ヴェルヴェットで良さそうなのはあったんだけど、ちょっと重いし……。

 ジュモー・オプセーヌの康乃にとって、手袋は欠かせないアイテム。これまで手袋をしないでライヴで歌った事は無いのです。急に歌う事になった時には、無かった事もあったかも知れないけど、基本的に手袋はマスト・アイテムって事にしてます。前は、練習中も手袋をしてました。何故なら、素手で松村君に触るのが恥ずかしかったから(可愛いー。自分で言うな!)。特にFriench Kissの手を繋ぐ振りの所が(この振りの部分は本家の完璧なコピーの所で、菊地さんもその頃日記で、「ちゃんと男の子と女の子が手を繋がなきゃね」的な事を書いていたくらい、大切な所なのです)。今は松村君の手の感触で、「今日は体調が悪そうだ」とか「すごく悪そうだ」とか「かなり悪そうだ」(苦笑)とか言ってるんだから慣れたものです。4年目ですしねぇ。


 横浜のスタジオを出て、3時間もあるから余裕だと思ったのに、渋谷のスタジオに“も”5分程遅刻してしまった。早速、SIMONさんのオケ『インターナショナル・クライン・ブルー』を渡し、CDを再生! おおお! スタジオのスピーカーはやっぱりいいなぁ。低音が違うな。カッコイイ。なんて言い合い、早速練習練習。……む、難しい。いつもはMDに録音した物を家に帰ってから聴くんだけど、堪らずその場で聴く。お、思ったよりかは、ちょっと、ちょっとだけまし。自分の声を聴き慣れてきた、と言うか、諦めがつくようになってきた、と言うか……、否きっと、4年前より歌が上手くなったんだと思う(おお!)。歌とはテクニックで歌うものではないのだ。人生で歌うものなのですからね。こう……何と言うか、ワタクシにも深みがぁ〜、付いてきたぁ、気がしてます。うん。良い方に考えて、ね。

 それから、新曲(タイトル未定)改め『こんにちは世界』。ええ、ええ。紛れもない『ワールドハローソング』へのオマージュ曲であります。私が「練習した?」と訊くと「ええ、少しは」と松村君。「えー。私、2〜3回しかやってないよ!」「私もそんなもんですよ」「なーんだ」という感じ。オケをかける前に、悩んでいた歌い出しの振りの確認。サイドステップをしながら、上げた手をくるっと回して腰に置く振りの、“くるっ”って所は腰の横辺りにすると良さそうだ、と言うのを大きな鏡を見て気付く。家のだとちょっと小さいから、サイドステップしてるうちに自分がはみ出ちゃうのね。

 「自分で書いた歌詞なのに、何でこんなに覚えられないんだー!」と小さく叫ぶ松村氏。わ、私もまだ暗記してませんが……。そんなのは、何の慰めにも成らないのです。そんな風に困っている(?)彼に更なる追い打ちを掛ける私。「間奏、短くして下さい」「えっ。何で?」「なんか……、長い」(会話省略)「じゃ、アレンジ変える」「よろしくお願いします。……帰ったらメールする? 忘れるでしょ」「……否。いい」「じゃ、楽しみにします」。と言う事で、アレンジを変えるそうです。まぁ、まだ1回しかやってないんだから、変わってもみんな気付かないかも知れないけど。

康「じゃ、次、『ANGELIC』。予告してたけど、間奏でアレやるからね」
松「えっ。アレやるの? ……恥ずかしい」
康「やるよ。だって、新曲間に合わなかったらやるって言っていたじゃん。ある意味、松村君の所為だ」
松「そうでした」

 アレとは、“ワルツ”の事。元々、本家では「間奏にワルツをやろうとして失敗する」と言うのを何度もやっていたのだけど、それをジュモーでは間奏ワルツで押し通すそうと言う事に、ある時“なった”。そして、コウノさんにワルツの振付を2年前に付けて貰ったんだけど、それから一回もやっていない。一回も! 私だってワルツやるのは恥ずかしいんだ! でもさ、一回くらいやらなきゃさー。もう、「あぁ、アレを真似してるんだ」って分かるお客さんが一人も居ないかも知れないけど、やったらいいじゃん。と言う事で練習。先ずは一人一人で足だけやって合わせる。……間奏が余るんですけど(愕然)! その後、無理矢理合わす。本番が怖いねぇ(苦笑)。

 『Physical』『普通の恋』『フロイドと夜桜』を通す。次回やるのは6曲。松村君が「えー! テーマソングもSWEETSも拝啓もやらないの?」と驚く。「じゃぁ、どれと代えるんだよー」「……ぅぐ。そうだね」「じゃぁー、そのうちソロライヴやろうー」「誰も来ないよー」「……ハハハ。そうかもね」。とか言ってるうちに終了。


 今日もスタジオの受付は萌ちゃん(仮名)だった。可愛いなぁ。いつもプライベートな事を色々訊いてみたいと思うんだけど、照れてしまって訊けない。訊きたいのは、「学生?」とか「バイトはいつまで続けるの?」とか、大したことじゃないんだけど。

 2人とも疲れてるのに、コーヒーを飲もうと近くのCAFEに。いつも行っていた『花泥棒 渋谷店』は閉店してしまって悲しかった。テーブルに向かい合って座ると、松村君の顔が少し細くなっているのに気付いた。「あれ? 痩せた?」「うーん。みんなに言われるね」「お正月、気を付けたの?」「そう言う訳じゃないけど」「そう……。(心配だね、と言う言葉を飲み込んで)いいなー。私なんか、すっごく食事に気を付けたつもりでいて、それでも大して痩せないのにさー」「はは。ダイエット。どうよ」「難しいよ。後2週間で私のウエストが2cm縮むと思う?」「2cmって凄いの? よく分からないけど」「分かんない。でも、たぶん凄い」「体重にすると何kgくらい?」「引き締めるんだから体重じゃないんだよー」「とは言え、少しは減るよねぇ」「うん。たぶん」「でも、2cmで分かるかなぁ?」「分かるよ! 私が2kg増えた時、松村君、すぐに気付いた癖に!」「ははは(苦笑)」とかとか。後、ユザワヤで買った物などを見せた。グッズに付けるデザインを見せて、相談とは言えないような相談をする。もっと時間がある時に相談出来たら良いんだけど。でも、参考にして作ろうと思う。


 全身がダルダルだったので、マッサージを予約した。久し振りに吉祥寺の和風癒処へ。そこに居た施術師は2人とも男だった。男の人の手は、女の人の手よりも大きくて厚い。俯せになって、背中をさすられながら、男の体と言うのは特だな、と思った。担当してくれた人は、男の人の中でも施術師向きの、ぶ厚い、良い手だった。ちょっとだけ嫉妬した。

 帰宅すると、青い部屋から添付書類付きメールが届いていた。“サロン”の利用方法に若干の改正があったとの事。読むと、私が使った時とそんなに内容は変わっていないようだった。何かあったのかな? 青い部屋って、本当に暖かい会場だと思う。上手に回っていったら良いのにな、と思ってます。