久本雅美の大天才サーカス

 この舞台のネタ合わせが始まっているにも拘わらず、私達のイヴェントに参加して下さったコンタキンテさんの勇姿を見に、楽日である今日、新木さんと新宿シアターアプルへ行った。本当は、18時までバイトの予定だったが、台風が近づいているため早仕舞を言い渡され、私は余裕を持って会場に到着出来た。


 始まってすぐの似非空中ブランコ。ほんっとうに下らない事を真剣に真剣に創って、それで観客に伝えようとしている姿に、笑いというよりか感動を覚えて、何だか泣けてきた。素晴らしいステージが始まるんだと言う予感で会場が満たされた。

 それから大天才サーカス音頭。「サーカスなのに盆踊りかよ! 何でもアリだなぁ」って感じ。しかも、入り口で配られたウチワを手に客席全員強制参加で踊らされるというもの。久本さんの「こっちから、結構見えてんだよ!」の言葉通り、踊りが終わった後、「男サラリーマンの二人組みが良かった!」と私から2m位しか離れていない席に座っていた男性達が、会場全員から拍手を貰っていた。

 この後、猫ひろしさん(「綱渡り」という設定で“いつもの”の芸をやる。TVでやっていたときは、引いて見ていたのだけど、不覚にも笑ってしまった。綱渡りがダブルミーニングになっている所為だと思う)や、大喜利のようなネタの連続が続く(太った男二人がイチャイチャしたりキスしたりするネタで、どうしても後ろに座っている新木さんの顔が見たかったが見られなかった)。

 コンタさんは、この大喜利風サーカスでは、「最も危険な腕立て伏せ」を披露した。これは、獲れたてのゴキブリに3cmくらいまで顔を近付けるようにしてするものだった。馬鹿馬鹿しい。そして、滅茶苦茶気持ち悪い! その他に、ステージにピンでも立った。新体操のリングを2本使った演技。徐々にその2本をヌンチャクとして扱っていく、と言うもの。お笑い、というより美しい演技だった。5月17日にあったソロライヴ「コンタキンテの大脱出」では、絞り込んで引き締まった肢体という印象の体に仕上がっていたが、今回は盛り上がった所謂“見せ筋肉”を付けていた。広い舞台の上でも大きく見えた。

 昨日は舞台中に、震度4にもなる地震が襲った訳だが、今日は別の意味の災害が訪れた。勿論、台風もひとつの災害だが(挨拶で久本さんが「大天災サーカスだ!」とネタにもしてた)、『オカルト・二人羽折』(善良な女性と悪魔に取り憑かれた女性の掛合い)で、ハンディカメラとそれに繋がっているプロジェクターが点かなくなったのだ。

善「キャー、カメラが客席へ移動するわ! ……え? カメラが? プロジェクターが点いて、ない?!」
悪「どーりで、客の反応が変だと思っていたんダァー! じゃぁ、ずっと後ろに映像が写されてなかったってことかぁ? なんてこった。こんなアクシデントは初めてだー」
善「どういうことなの! ある意味、神様、助けて!」
悪「顔を見せちゃいけない黒子が顔を出してるぞ。どぉ言うことだ! 冷静に「もうちょっと繋いで下さい」とか言ってんじゃねぇ。打ち上げが盛り上がるぜ! コラ。手は休むんじゃねぇ」

 等々、延々アドリブが15分以上続いた。舞台は生き物だし、こういうアクシデントがあっても、ずっとステージを暖め続け、客を楽しませ続ける。これが一流のエンターテイナーなんだなぁと、改めて思った。演者はたまったもんじゃないアクシデントなのだが、客的にはオイシイ。良い日に来たなぁ、と思った。

 間のネタの感想をぶっ飛ばして、最後の集団ダンス。ラヴェルボレロに合わせて、ひたすらジャンプを続けるダンス。久本さん、ものすご膝痛そうだった。素晴らしかったです。幕が下りる前に、Bravi!と叫びたかった。や、久本さんがBravaかな。惚れてしまいそうになりました。行って良かった。

 実は、冷蔵庫マンが微妙に好きなのだが(とか言うと「公言はヤメロ」とか言われそうだが)、舞台には出なかった。チケット窓口で、自分のソロライヴのチケットを売っていた。……でも買わなかった(ソロに行く程は好きじゃないんだよね)。