痛快でニヤけてしまった

 魔女H(43才)の嫌いな仕事(営業)を、予め彼女に割り当てておくと当日欠勤するので、上司は逃げられないよう当日の朝に通達する事にしたらしい。これなら逃げられまい。ということで、昨日の彼女は、急遽営業チームへと借り出されて行ったのである。「当日いきなり」と言う作戦を先に使ったのは彼女の方だったのだから、やり返されても仕方ないだろ、と思うのは常識のある人間だけで、彼女のような人はどう思ったか分らないが、童謡ドナドナの様に彼女は連れられて行った。

 嫌いな仕事を7時間続けた後、彼女はリーダーの所に行き、「私はいいんですけど、私では契約が取れないので、他の人がやった方がいいと思います。私はいいんですけど〜」と言ったらしい。それに対してリーダーOさんは笑顔で答えた。「やらなきゃ上手くならないからね。大丈夫。ハイ、頑張って!」。魔女Hが帰った後、サブリーダーのSさん♂が、「彼女に仕事を無理矢理させるのが億劫」なんて言い出すので、「やる気のない人にも仕事をさせるのは上司の仕事ですから、頑張ってください」とにこやかに言っておいた。「じゃ、木曜も金曜もやらせようか〜」なんて話になっていた。誰もがHさんを『働かない人』として認識し、働かせようとするこの動き、痛快過ぎる。

 新しい事を覚えなくてはならない毎日で、自分の事で精一杯だった私には、彼女が仕事をしなくなったのがいつからだったのかサッパリ分らないのだが、昨年の2月、私の3週間遅れでに入って来た彼女は、それなりにやる気があったように見えた。しかし、常に自分のルールで物事が運ばないと納得行かない彼女は、予めあったルール(例えば、この棚にはこの書類を入れるとか、当たり前過ぎる事)に馴染めず、それを注意されると膨れ、自分の正当性を訴えた。また、みんなで相談して決める(例えば、仕事や休み時間を相談して分け合うとか)と言うことが出来ないので、次第に誰も相談の輪に入れようと言う気にならなくなり、完全に孤立した。

 しかし、それでも彼女がこれまでそういう風に仕事を続けられているのは、注意する人がいない所為だ。悪いのは彼女一人ではない。それを許している体制が悪いのだ。