昨日はご来場ありがとうございました!

 昨日は、『双子のゲーム4』@代官山 晴れたら空に豆まいてだった。ご来場いただきました皆様、本当にありがとうございました。こんなに大きな拍手がいただけた事が過去にあっただろうか。いやない(反語)な夜だった。

 4月中旬に企画して、7月末に大モメにモメつつフライヤーの撮影、松村君の海外出張や体調不良に翻弄されつつ、8月末にフライヤーが完成、バンドとのリハーサル、宣伝の本格開始、9月前半のコンタキンテさんのソロライヴのスタッフをやりつつ、9月末でリストラ、10月から新しい職場に移り、3日後に当日を迎えた、と言うのがこの怒濤の半年だった。ぶっちゃけ、今の今まで楽しむという余裕が無かったような気がする。半日経って、いただいた反響のお言葉を噛みしめつつ、ようやく“楽しかった”と思えるようになった。


 当日は、少しでも早く行かなくてはと思っていたのに、巻き髪が上手く出来ず(結局、諦めた)、会場にはリハスタートの数分前に着く事となった。晴れたら空に豆まいてと言う会場は、それなりの金額をとるだけの本当にちゃんとした会場で、お願いした事を即座に的確に行ってくれるし、音もすごく奇麗。私たちにはとても贅沢。

 最初のリハはコンタさん。今回お願いしたネタは、「コギャル柔術」「お父さん」「雨に唄えば」「チンポニョ」の4つに、映像で「スリラー」だった。毎回、ネタ選びは「え? これ全部同じ人?」と言う並びになるようにしている。「コギャル柔術」では、見た目の面白さと武道家であるコンタさんらしさ、そして客いじりを、「お父さん」では、ブラックジョークと悲哀のあるシリアスで正統派な演技力を、「雨に唄えば」では、放送禁止のバカバカしさと肉体美を、「チンポニョ」では、可愛らしさと恒例の股間水鉄砲を、それぞれ堪能出来るようになっている。去年、コンタさんのソロライヴで音響をやった時、私はコンタさんや演出のとちぼりさんから、“作品を作り込んでいく”という鬩ぎ合い感を体感した。その経験の後初めての『双子のゲーム』だったので、出来るだけ高い完成度の物をお客様にお渡し出来るよう、リハーサルから緊張していた。本番、「コギャル柔術」のみ私がSEをやったのだけど、自分の出番以上に緊張した。


 去年もそうだったけど、開場の前に10名くらいお客様がいらっしゃっていて、晴れ豆の方に、「早めに開場しても良いですか?」と聞かれた。もちろん、「どうぞ、お願いします」と言って、開いてもらった。

 55分になって、コンタさんの映像「スリラー」。これは、“マイケル・ジャクソンのPVスリラーの映像の間にカトちゃんの格好をしたコンタさんが出て来て踊る”と言うもの。今年のソロライヴ、オープニングで流された物なのだが、「何故、今これ?」と言う感じな上、作りが手作り感溢れていて笑った。カッコいい様な、バカなような、基準の崩壊を感じさせる様な作品だった。続けて「コギャル柔術」。内容は、「援助交際するコギャルと柔術を合わせたもの」。楽屋で真面目な顔をしながらコギャルメイクを真似しているコンタさんも可笑しかったが、ライオンの着ぐるみパジャマを着た40男(正確には39才だが)出て来ただけで可笑しい。たどたどしい日本語と、シモにアレンジされた柔術の型が変で可笑しかった。客いじりの所では、私の食事会関係の友人、Gさんがステージ上に上げられた。Gさんはちょっと不思議な雰囲気を醸し出しつつ、いたって普通の人で、その総合の雰囲気や言動が面白く、コンタさん自身もウケていた。

 続いてT.A.N.S.。曲名をメモリ忘れたけど(1曲目が「Cut」で2曲目が「Oh Sixteen」だったような)、10分以上のハードボイルドな曲を3曲演奏した。本人達も後で言っていたが、いつもよりちょっと出来が良くなかった。ちょっと緊張してたのかな。それでも格好良かったけど、普段はもっともっとカッコイイ。演奏終了後、会場の人に「1月にブッキング、どうですか?」なんて言われてたらしい。それ、実現したら良いな。普通に客として嬉しいな。ともさんのMCは今日も炸裂していてステキだった。

 2つ目のコンタさんのネタ「お父さん」。内容は、小6の女の子と暮らすお父さんの苦悩、みたいなもの。私は、このネタの中の卒業式の掛け合い練習のシーンが特に好き。本当に無駄に発揮される演技力が最高に面白いと思ってる。楽屋に戻って来たコンタさんが楽屋で、「『お母さんがもう3日も帰って来ない』って所で大爆笑が起きたのなんでかなぁ。みんな僕の事知ってるのかなぁ」なんて首を傾げていて、その姿にも静かにウケた。私もコンタさんの過去の結婚生活の事は及び知らないが、「お母さんが3日も帰って来ない」なんて、ちょっと普通じゃない事は分かるし、それをサラリと言う面白さは解る。

 続いて、ピンカ・ラ・トリオ。私は楽屋で、ペンギンの着付けをしていたので、ほとんど音のみ。最後の2曲だけ客席で聞いた。ピンカ・ラ・トリオは、ポップでキュートでヴィヴィッド! ここのVo. JUNちゃんも虹色の声を駆使し、可愛くて面白い。そして、オシャレ。脇を固めるSOUYA君、MYOUGAさんは、サイトこの画像みたいな人形を彷彿させる動きで、思わず笑みがこぼれた。客いじりも入れて、歌って踊って、素敵なステージだった。

 それから、3つ目のコンタさんのネタ「雨に唄えば」。ナシオ・ハーブ・ブラウンの「雨に唄えば」をかけて、全裸に半透明のレインコートを着た頭のオカシイ男が、ジーン・ケリーになりきって踊る、というもの。このネタの元々オチは、袖にはけたコンタさんが、ステージにレインコートを投げ入れ、一糸まとわぬ姿で出て来て、ニヤッと笑って暗転するものだったのだが、私はそれをあえて「カットして下さい」とお願いした。理由は3つ。1つ目は、もうその格好で出て来ただけで可笑しいから。2つ目は、いくら無駄に鍛えた身体とは言え、全裸は私的にちょっとキツイから。3つ目は、全裸にならない事によって、その作り込みがアートパフォーマーに誤解される効果があると考えたから。この提案をすると、芸人コンタキンテさんは、「それじゃ、オチないですよ、うーん。じゃぁ、最後に『チンポニョ』歌いましょう。アレ、今年しかやれないし(笑)。歌って、お客さんに水をかけて、盛り上げて終わりましょう」と言って下さった。それは願ったり叶ったり! 「お願いします!」と言って、4つのネタを披露してもらう事になった。去年、ソロライヴでこのネタをご覧なった方は気付かれたかも知れないが、今回、レインコートの丈がもの凄く短かった。後に分かった事だったのだが、去年、お手伝いに入った男性が、“間違えて短いレインコートを買ってしまったので「買い取ります」と言って、長いレインコートを持ち帰った”らしい。彼の間違いはこれに始まった事じゃないが、抜けてるんだかちゃっかりしてるんだか、ヤレヤレ……なんて思った。「チンポニョ」終了後、会場が割れんばかりの拍手に包まれていた。この予想以上の反響は嬉しい誤算だった。楽屋に戻って来たコンタさんに、「すっごい拍手ですね」と言うと、ニッコリ笑いながら、「ホント! 想像以上で僕も驚きましたよ」と仰っていた。


 ペンギンを着付ける事ばかりに気を回していて、自分の衣装をチェックするのを忘れていた。また、キツイ長手袋をするのを忘れていて、立ち位置に立つのに手間取ってしまった。今回、歌ったのは、「普通の恋」「コポロラリア」「インターナショナル・ラブ・コンフェランス」「ホーチミン市のミラーボール」の4曲。時間の関係で、前半をカラオケ、後半を生バンドでやることになり、いつも最後の曲にしている「普通の恋」を一曲目に持ってくる事にした。幕が上がり、歌いながらも、「本当にこの曲順で良かったのかな?」と思っていた。それは、私がこの「普通の恋」という曲が好き過ぎるから。最高のテンションで歌いたいと思っているのに、心を入れ替えるのに手間取ってしまっていた。……でもまぁ、そんなのは会場の全員には伝わらない事なんですが。

 新しい振付けが追加された「コポロラリア」。リハの時も何回も間違えてしまった、エンディングでミラーボールズ(ダンサー:ayabon&chisa-rumba)と向かい合って踊る所を、また間違えた。ここは、Berryz工房ジンギスカン」のサビのダンスを真似していてかなり難しい。過去に、SPANK HAPPYが、「拝啓ミス・インターナショナル」で、「The Peace [ザ☆ピ〜ス]」の振付けを真似した事があって、「ジュモーが今やるなら、同じハロプロBerryz工房でしょ! フリが面白いし!」とayabonさんが言って、こう言う事になった。

 ここでバンド……と言っても、T.A.N.S.+のぐのぐ(サンノゼ出張、現地滞在24時間でとんぼ返り。成田から代官山に直行してくれた。お疲れ様です)を呼び入れて「インターナショナル・ラブ・コンフェランス」Rockアレンジ。最初、このアレンジを提案された時、私はかなり驚いたんだけど、ちょっと懐かしい感じで、ダンサーも入るし、絶対盛り上がる!って思ったら、すごく楽しい気持ちになった。サビの「インターナショナル ラブ ラブ コンフェラ〜ンス♪」っていう所のフリが、超アイドルアイドルしていて可愛いの。エンディングでは着替える事で頭がいっぱいになって、うっかりワンコーラスすっ飛ばして後ろにはけてしまった。楽屋に入るなり松村君に、私のMCへのダメ出し。流れとしては、私が先にステージ上で松村君に「去年と全く同じ事しか言わないのは、お客さんに失礼だ」と言った事に対してのダメ出しだったんだけど、「ツッコミが早過ぎる」と言うのだ。私は遅いぐらいだと感じていたので、全然納得行かなかった。

 私は黒く太いフリンジのビーズドレスから、スパンコールのショートパンツに、松村君は、黒のスーツからチノパン赤シャツ着替えて、薔薇の花束を持って再入場。客席に薔薇を投げた。菊地さんが、香水をステージに撒く前の一時期、薔薇を会場に投げていた事があって、それを真似したもの。「ホーチミン市のミラーボール」は、Date Course Pentagon Royal Garden風。これは狙い通り、菊地成孔ファンには大ウケ! T.A.N.S.+のぐのぐの演奏は本当に格好良くて、ミラーボールズふたりも超可愛く素晴らしいダンスを披露し、んで、まぁ、私たちは“いい感じにヨロヨロした踊り”で皆さんを楽します事が出来たんじゃないかな〜なんて出来で、お客様から満場の、本当にこれ以上なく大きな拍手をいただいた。


 最後、カーテンコール。1でも2でもやっていて、去年もやろうと思っていたんだけど、イヴェントの趣旨を何度もメールしたのに山下総合病院さんのあまりの排他ぶりに出来ず、今年はアットホームに出来て良かった。みんなの告知をやって、「この後、コンタさんのDVDの販売をします。盤面のデザインを康乃がしました。よろしく」と言ったら、松村君に「康乃さんはいつも“自分が自分が”ってなるよね」と言われた。私はショックで完全に蒼白になってしまい、ステージ上である事を忘れてしまった。そこですかさず、T.A.N.S.のKeyともさんが、上手に締めて下さった。さすがともさん。本当に頭のよい人とはこう言う人の事を言うんだと思う。

 目眩で目はロンパリみたいになっていたが、簡単に着替え、お客さんに挨拶をした。みんな口々に「本当に楽しかった」「元気をもらった」「ありがとう」と温かい言葉を下さってニコニコ帰って行ってくれた。撒いた薔薇は、床で踏まれる事なく、みんなの手で持ち帰られた。


 終わって、恋人がやって来て、「康乃はみんなの為に頑張ってたよ。それは、みんなに伝わってると思うよ。大丈夫」と言ってくれたが、相方にああ言われるんだから、私はまだまだ、みんなへの配慮がなっていなかったんだと思った。前々から思っていたけど、ここの所、前よりずっと、松村君は「JUMEAUX OBSCENES、あまりやる気ないな」と思ってると感じていた。それは、松村君が「やる気はある」と言いながら、締切を守らない事や、リハーサルに参加してくれない事、宣伝活動や集客に熱心に協力してくれない事、「松村君のやりたい事をもっとやろう」と言っても、「康乃さんの好きにやるのが一番いい事」と言われてしまう事からだった。これまで「歌よりもMCに力を入れたい。時事ネタや社会風刺を」と言って、やってきたのに前回のライヴと一語一句同じ事しか言わないと言う到底私には理解出来ない“面白さ”を追求し出したり、私がY社をリストラされた話を出したら、話をさえぎったり。そして、最後にあんな事を言うなんて、私たちは完全に遠くへ離れてしまった、と確信した。……と言うか、まぁ、そんな風に言われてまでやりたくない、と言う感じ。

 しかし、あんなに大きな拍手をもらい、あんなに大きな笑顔をもらい、イヴェント『双子のゲーム4』は絶対に成功したと思う。あの時間、晴れたら空に豆まいたにいた全ての方に、勿論、ずっと付き合って来てくれた相方にも感謝します。心の底からありがとうございました。これが幸せと言う事なんじゃないかな。