今日の夢

 かつて暮らしていた家にいた。居間には数人の親戚が座って何かを話していた。私はカトラリーの入っている棚を開いた。中には奇麗なナイフやフォーク、スプーンが並んでいた。私はその中から一人分の食器を持ち出そうとしていた。後ろからEが話しかけて来た。私の手は震え、食器がガチャガチャと鳴った。平静を心掛けつつ、ゆっくりと食器を選んだ。Eはこれまで見せた事もないような恐ろしい表情で不適に笑い、「あの写真を好きに使うぞ」と言った。私は何の写真の事を言っているのか分らなかったが、とにかく全身が嫌悪感でいっぱいになった。「何の事か分らないけど、とにかく厭! 絶対に認めない!」と私は叫んで玄関から飛び出した。外は小雨が降っていた。国道までの緩やかな下り坂を全速力で走った。タクシーが止まっているのが見えた。私が後ろの扉を叩くと開いた。飛び乗ると、奥の席に女性が驚いた顔で腰掛けていた。私は必死に、「一緒に乗せて下さい! 早く、車を出して!」と叫ぶと、女性は優しく笑って「いいですよ。私は、○○まで乗りますけど、一緒の方向ですか?」と訊いた。「はい……」、私はそう答えたが、その場所を知らなかった。タクシーは走り出した。全身が氷のように冷たく重くなって行くのが分った。寒さと全身の痺れで起きた。布団をかけていなかった。