日常

 5/3に生まれた、妹の娘を見に行った。まだ10日あまり。赤くて本当に赤ちゃんだった。手の甲に皮が浮いていた。7月初旬出産予定の義妹も来て、なんだか賑やかだった。Mと名付けられた妹の娘は終始困り顔で、見えていない目を開いたり閉じたりする様すら手探りだった。

 私は、長女の癖に子供と呼ばれる年下のヒトが苦手だった。小中学生の頃は勿論の事、高校に至っても、「恐い先輩」等と呼ばれ、在学中はあまり後輩と交流を持たなかった。同じ様に、ペットに接するのも苦手で、猫や犬を撫でる事も殆ど無かった。

 私が、子供を抱ける様になったのはいつだったろう。はっきりとした記憶にあるのは、7年前に姉貴に長女が生まれた時だ。素直に「あぁ、可愛いなぁ」と思えた。「抱きたい」と言うよりか、「抱かなくては」と言う使命感にも似た感情で抱いた様に思う。

 「康乃ちゃんにも抱かせてあげようか」と母に言われるまでの3時間、私はMの半径2m以内に常に居て、ずっと様子を伺っていた。このイキモノは、ぐにゃぐにゃに違い無い、と。実際抱いてみると、想像以上にしっかりとMはそこに存在していた。確かに首は座っていないものの、服越しに感じる肉と血と骨は、溢れんばかりのエネルギーを放っていた。

 妹は、案外雑に娘を扱っていて、ちょっとほっとした。コイツ、母でもママでもなく、“母ちゃん”になる気だな、と思った。義弟は、娘を宝物の用に扱っていて、それはそれで、だいぶほっとした。