ネイブル(ヘソピ)

 私的には、何年も前から空けたいと思いつつも、何となくタイミングを逃していたボディ・ピアッシング。8月の中頃、松村君から「次はネイブルを考えてるんですよ」と聞き、その時は「へぇ」と聞き流していたんですが、夏なので人のお腹を見る機会も多かったりして、段々と空けたい気分が盛り上がって来て、「私も空けるー。でも、ひとりだとまたイイヤってなっちゃいそうだから、一緒に行こうよ」と誘ったのでした。

 治りの遅いネイブル。来月久し振りに温泉部の部会を開こうと思っているので、なるべく早い方が良いとは分かっていたのですが、私が和歌山でイルカと泳いだり北海道で台風に巻き込まれたり、松村君が手術をする予定があったりしたので、12日の日曜日となりました。

 左耳に2つ追加ようとしていた松田君も誘ったんですが、「9/21から屋久島行くから」と、8/28に先んじられました。そんなこんなで、松村君には1ヶ月近くも待たせる事になった訳で、挙げ句、「やっぱ空けない」なんてとは言えない(否、言おうと思えば言えるし、言った所で仲が悪くなるとかは無いと思うんですが)、と思いつつも、ネットで色々な情報を見ながら楽しみに当日を迎えたのでした。

 場所は、EXTREME BODYPIERCING菊地成孔氏が空けた原宿のスタジオです。松村君はいつも、NOONで空けていたので(松田君のファーストピアス6/28も)、ずっとNOONに行くものだとばっかり思っていたのですが、「EXTREMEの方が、石の付いたピアスの種類が多いからそっちにしよう。私も行った事無いから行ってもみたいし」と言われて、NOONのショーケースを思い出し納得しました。私としては、「菊地さんが空けたスタジオだー」みたいな、ミーハーな気持ちがそれ以上にあったような気がします。

 スタジオに入ると、ネイプ(首の後ろ)に空けるかどうか迷っている2人の女の子が居て、ギャーギャー騒いでいました。後ろ姿を見て、初め「親娘かな?」と思ったんですが、前から見るとどうやら二人とも若く、話してる感じで同じ年だと分かりました。しかし、どうして片方の娘の後ろ姿は、あんなに老けてしまったんでしょう。大騒ぎしながらも、二人は結局空ける事はせず、お店の人も「どうでもいい。特に薦めませんよ」と言う対応。松田君も言っていたけど、そういう雰囲気が安心感を与えてくれてる気がします。

 ショーケースの前に立って、「ネイブルを空けようと思ってるんですが、(カーブドのを)出して見せて貰えますか?」と言うと、お姉さん(10歳くらい年下だと思うけど!)が、淡々とした口調で、「どうぞ」と言ってピアスを出してくれました。

 松村君は、チラリと見ただけでもうヘマタイトに決めたようでした。私は、色々写真を見て、クリアのジルコニアにしようと思ってから来たんですが、実際に色々な石を見せられ、松村君が天然石を選んだのを聞くと、「あぁ、それもいいな」なんて思ったりして、凄く悩みました。

 「うーん、うーん」と唸っていたら、お姉さんが「どの辺で悩んでます?」と訊いてきました。とっさに「クリアとピンクとイエローで悩んでます」と口が勝手に言いました。「今、イエローはサンプルしかないんですよ。クリアかピンクですね。こちらのパープルも、光の加減で、クリアにもピンクにも見えたりして自然かも知れないですよ」と言われて、クリアとパープルで悩む事に。

 ……1分経過。悩む才能のない私は、松村君に相談する事にしました。「うーん。どっちがいいかなぁ……、っていうのある?」、「クリアが良いんじゃない?」、「え! そ、そう? じゃ、クリアにします」。と、結局最初に考えていたものに。後で、再び松村君にクリアを薦めた理由を聞いたら、「色が入ってるやつなら、もっとハッキリとした、例えばビビッドな感じのが良いと思うよ」と。成る程。

 先に空ける事になった松村君が施術に入る前に、ヘマタイトがサンプルしか無いという事が判明。「じゃぁ、ムーンストーンが下に入るタイプのはあります?」と訊いたんですが、それも無く、「注文すれば、1週間後に届きますが」と言われたのですが、これ以上待つのも嫌だったらしく(すみません。私の所為だよねー)、普通に上下がボールのものにすることにしてました。

 店から丸見えになった施術スペースで、ピアスとタトゥーだらけだけど、物腰の優しい男性にに、「ベルトが邪魔なので外して下さい」と言われて外し、ティッシュをお腹に挟んで越中褌のようになっている松村君の姿は、直後自分もそうなると分かりつつも見ていて面白かったです。位置決めの印を付けている間、ちょこちょこ写真を撮っていたら、針を刺す段になって、「ベッドの横に来て撮って良いですよ」と促され、間近でしっかり見てきました。松村君は終始淡々としていて、痛くもかゆくもないという雰囲気でした。

 あっという間に終わり、次は私の番でした。「消毒します」と言って、小さな脱脂綿でお臍の周りを少し強めに撫でられたのですが、それがメッチャクチャくすぐったかったので、逃げながら「ち、ちょっと耐えられないかも。自分でやっちゃだめですか?」と言うと、「ハハ。耐えて。耐えられなかったら、空けられないよ」と言われてしまいました。仕方ないので、全身に力を入れて耐えました。

 私のお臍は上の方が薄いせいか、穴の出入り口の距離が短く取られました。「少し左の方に寄ってるように見えると思うけど、形と治りの関係で、ここがベストです」と言われると、「やっぱり、プロにやって貰うのは安心感が違うな」と思いました。

 施術台に横になって、「2回ちくっとします。1・2・3で皮膚を通過しますよ。力を抜いて楽にして下さい」と言われ、「お腹を触られた時、またくすぐったくて笑ったらどうしよう!」と心配しつつ、「眠れ。眠ってしまえばいいんだ」と自分に言い聞かせました。実際に、針が刺された時の感覚は、献血の時に、採血用の針を刺されたのと変わらない程度の痛みで、針が通過する2回目のちくって言う所は、それよりも若干強い痛み。……と言っても、一瞬なんですが。「もう、痛い所はお終いです。この後、ピアスを入れますね」と言われ、「本当に、あっという間だったなぁ」と思いました。

 「うちのピアスのそのタイプの石はブリリアントカットで、特別に頼んで作ってもらってるんだよ。他の店のと比べたら分かるよ」と言われた通り、キラキラと可愛くて(ピアスがね!)、想像していたよりも、ずっとずっと気に入りました。

 松村君は、「次はネイプに入れたいんだよねー」と(ネイプ、人気だなぁ)、店内に置いてあったお客様の写真を真剣に見ながら、お店の人と話していました。でも、仕事的に無理なんじゃないかな、と私は思うんですが……。どうでしょう。

 それから、竹下通りのマツモトキヨシで、アフターケアとして薦められた、クレアラシル洗顔ソープ(マイルド)を購入し、じゃんがらラーメンを食べ、帽子屋やアクセサリー屋、本屋に寄ったりして帰りました。椅子に座る時、ふたりとも凄く姿勢が良くなるので、それが面白かったです。松村君は普段猫背だから余計に……。

 家に帰って、クレアラシルをよーく泡立ててお臍の上に乗せ、歯磨きをしつつ待ち、優しく洗い流しました。半年以上も同じピアスをし続けなければいけないなんて、石に付くであろう水垢が気になるなぁと思ったんですが、まぁ、仕方ないですね。

 眠る時、どんな体勢が良いのか凄く悩んでしまいました。家にあるったけのクッションを持ってきて、あちこちに挟んだり敷いたりして、私はなかなか眠れ無かったんですが、松村君に訊いたら、「え? 俯せにならなきゃ、どんな体勢でも平気でしょ?」と、超ラフな回答が返ってきました。そうか……。そうだよね。

 水曜から、一日8時間くらい座学をしなくちゃいけないので、クッションを持ち歩かなくてはならなそうです(苦笑)。