ヤージ小のテビチすば

 仕事が終わり、気持ちいい程度の霧雨の中、青山一丁目の駅へ向かおうと歩き始めると、今日一緒のチームだったS君が、「俺、おきなわ物産センターに行きますから、送っていきますよ」なんて言ってきました。確かに、沖縄好きには有名な店ですけど決して誰でも知ってる店ではなく、私の家からそう遠くない店の名前を出すなんて、なんてスマートな物言いなんだ、と小さく感動しました。

 S君のBMWに乗り込むと、13時をちょっと回った所。お腹が空いていたので、「途中で何か食べようよ」と提案しました。「少し我慢できるなら、ヤージ小(ヤージグワー)で沖縄ソバでもどうです?」、「いいね! あぁ、久し振りだな」。

 最近、沈黙恐怖症が酷くなっている私は*1、ヤージ小に着くまでの40分間、決して饒舌とは言えないS君の横で、殆ど喋り続ける事になりましたが、後半は結構喋って貰えたので助かりました(苦笑)。

 店に入った時、4人がけのテーブル5つしかないヤージ小は今日も満席で、少し待つ事になりました。待ちながら、何故かやたらと沖縄に詳しいS君に、名前を読んだだけでは解らないから、頼んだ事のないメニューについて解説をして貰いました。色々悩みましたが、結局二人ともテビチそばを注文しました。半分まで食べた所でスープに泡盛島とうがらしを漬けた物を垂らすと、風味ががらっと変わって、二つの味が楽しみます。好き嫌いハッキリ別れる所だと思いますが、私は好きです。

S「テビチとかホルモン系の肉が平気なら、関内の『闇市倶楽部』行ったらいいですよ。」
私「あー、知ってる。地獄ラーメンの……」
S「そう。それよりも駅寄りです。かまくら街道沿いね」
私「へぇ、闇市倶楽部って友達も薦めてたんだよー」
S「本店の方は予約しないと絶対に入れないけど、こっちは少し余裕があるし、とにかく種類が豊富なんですよ!」
私「そうかぁ。そんなにオススメなら今度行くよ。私のお薦めはねぇ……」

 などと、お薦め店情報を交換したりしつつ、本来の目的地であったおきなわ物産センターへ。S君が美味いと力説していた“島バナナ”は品切れ中。店員さんに訊くと、「季節も終わりに差し掛かっているので、あと一回入荷したら終わりだと思います」との事。覚えていれば、近いうちに買いに来てみます。ここで私がいつも気になるのは、900円で売られている大きいゴーヤ2本。いつも惹かれるのですが、多いので諦めています。いつか……。

 S君は、ドリンクの棚にある黒糖玄米ミキの2本に釘付けになっていました。

S「飲んだ事あります?」
私「……あるよ。でも、ぅ……。お薦めは(小声で)しない。あ〜〜〜んまいんだよね!」
S「例えるなら?」
私「こっち(ミキ)はね。練乳を薄めたような……」
S「えー。でも、米でしょ? 甘酒みたいな味じゃないのかなぁ」
私「う。そう言われると、なんかそれ風だったかもしれない……。やー。でも、多分(小声で)買った事を後悔するよ」

 甘い飲み物が苦手な私の言う事ですから、あまり参考にならないと思われたらしく、S君は2本ずつ購入してました。

私「今夜飲む?」
S「飲みますよ。キンキンに冷やした方が良さそうですよね」

 家まで送ってもらい、「じゃぁ。明日の朝、感想聞かせて」と言い、私は車を降りました。

 さて、何て言うコメントが聞けるのかな。期待通りだと思うんだけど……。

# 次の日会ったS君のコメントは、「予め脅かされてた所為だと思うけど、米(ミキ)の方はそんな激甘だと感じなかった。確かに甘かったけど(笑)。玄米の方は、ちょっと……駄目だった」でした。ちょっと拍子抜け。(8/30 追記) 

*1:私と一緒にいて5分沈黙が続いたら、それは気を許している証拠です。