夏休みの日記は、後でつけるもの

 得意だという人も少ないと思いますが、私はMDでの録音が苦手です。落ち着いてやっているつもりのレッスンの録音ですら、しょっちゅう失敗するのです。ですが、「加藤千晶の夏休み(のんびりライヴ)」はちゃんと良く録れていました。ふりかえりつつ。

 ロムチアキさん(Theremin)とすどうかよさん(E.P.&Vo.:http://www.geocities.jp/kayo_pinponpan/)のデュオ(ロムさんって「何処かで見た事があるな」と思いながら見ていたのですが、テルミンブームだった時期(「いつ?」って思う人も居るんでしょうか)は、結構TVに出ている人だったんですね。奏者自体少ないし、納得)。

 テルミンと言う楽器の音の魅力というのは、キーボードの高性能化により、薄らぎつつある物ではあると思うのですが、やはりその人の体自体を使って演奏するという個性や、奏法の美しさは代え難いものがあります。ロムさんの演奏は、そのキャラクターにたがう事無く、可愛くてコミカルで暖かかったです。

 対するすどうさんは、「のんびりと言ったらこの人」と言われて選ばれるに相応しい人柄で、MCのマイペースぶり(「ゴロゴロ喫茶って言うのがあったらいいと思うんですよ」とか、「最近、平和についてよく考えていて、そういう曲をベタに作って居るんです。4チャンネルみたいな。黄色いTシャツ着ちゃうぞ、みたいな」と言って、歌い始めた曲が、ラララだったりとか)は、時に(超マイペースの)ロムさんをも固まらせるような素晴らしさがありました。

 ロムさんが大好きだという“水クラゲ”をイメージしたという白い衣装を着たおふたりは、(勿論、大変お似合いで)浮世離れした印象を更に強めていました。ロムさんは、水クラゲに大変良いイメージしか無いみたいでしたが、子供の頃、父の船遊びに付き合わされていた私としては、夏の終わりの大発生で着岸を邪魔された経験もあり、そして丸い物の集合体が生理的に絶対に駄目と言うのもあり、そんなに良いイメージは無く、クラゲについて熱く語るロムさんを見ながら面白いなぁと思っていました。

 加藤千晶さん(Vo.&E.P.)と高橋結子さん(Perc.:http://www.h4.dion.ne.jp/~ketstron/)、鳥羽修さん(G.&marimba:元カーネーション)のトリオ。

 前も書きましたけど、これでもかっ!という牧歌的な世界。とても現在の自分のままでは聴く事は出来なくて(苦笑)、他の人格に出てきてもらって聴くような感じで聴いていました。始まる前から、駄菓子屋の店先みたいにゴチャゴチャとしている高橋さんのパーカッションまわり。見た目以上に色々な楽器が隠されていて、しかも全部が効果的に素敵にキラキラと散りばめられるように使われていて、目が離せませんでした。本当に夢みたい。鳥羽さんのギター&バンジョーも、サーカスを見ているみたいに楽しかったですね。

 MCは、加藤千晶さんも自認している様に、平野レミさんみたいな語りで(わざとモノマネしてみたりもして)、底抜けに明るい。明るすぎて、若干辛い(苦笑)。ふと、他人に明るい歌を強要した事のある過去が蘇ってきて、ひとしきり反省してみたり……。あははは。

 チアキテル(挑戦:二人の“ちあき”によるテルミンデュオ)。自称、テルミン界のシンクロ。

 3曲だけの演奏でした。こんな事を言っても良いのだろうか、と少しドキドキヒヤヒヤしてしまうのですが、本当に凄い演奏でした。言葉が思いつきません(松村君は「衝撃」と言っていた)。演奏の途中で、「チアキテルと書いて「張りつめ」などとも言っていたし……」。自虐っぽい。

 テルミン大好きの松村君が、「いいなぁ。欲しいなぁ。このくらいのだったら、家にあっても……」と、終始言っていたので、じゃぁ、「練習してライヴかカラオケで使おうよ」と気軽に言っていたのですが、チアキテルの演奏を聴いた後では言えなくなってしまいました。本当に大変そう!

 ライヴの後ご飯に行って、「温野菜 九州風」みたいな物を頼んだら、筑前煮が出てきて、私はビックリしました。松村君はメニューを見た時から、筑前煮(がめ煮)だと分かっていたようで、不思議がっている私を不思議がっていました。……そうかなぁ。まどろっこしい書き方してると思うけどなぁ。それから、ひとしきり筑前煮に対するこだわりを熱く語ってみたりして(松村君も煮物とかちゃんと作る人らしい)、面白かったです。

 全然関係ないですけど、この夏は一回も冷やし中華を食べていません。なんとなく、食べないうちに終わってしまいそうな予感。