「ハルデラ・ウエーヴ Vol.2」

 2004年の8月7日にこれを書いて、8日にアップしました。

 当日の事を振り返って書くのは、偏に自分の為なのですが、猛暑が続く中、暑苦しい精神論をふりかざす積もりはありませんが、“気”と言うのは生活していく上で本当に大切で、どんなに体力が落ちようが、気があれば……(なんだか、アントニオ猪木みたいで嫌)ね、本当に。


 今年の4月、岩澤瞳嬢の突然の脱退により、第二期スパンクスは、ラストライヴという冠を付けたイヴェントもなく終了し、私は悲しみよりも先にあっけに取られたという方に近い感覚を覚えました。

 我々JUMEAUX OBSCENESが、純粋にスパンクスの曲だけでアクトをするのは、この「ハルデラ・ウエーヴ Vol.2」が最後だという事になっていましたから(本当の所はどうなるか分かりませんが)、私はとにかく気持ちだけはこもったステージにしようと思っていました。体調が極悪だった為、何をしたいとか、どう思われるようにしたいとかは、思いつかなかったんですが。

 取り敢えず、「ヘアをゴージャスなアップスタイルにしよう」とそれだけ決め、当日の昼、いつもの美容院の椅子に座りました。流石にこれまで何枚かの瞳ちゃんの写真を見せられている担当のSさんですから、私の年齢に似合うようにではなく、ちゃんと可愛い感じに仕上げてくれました(苦笑)。

 ループラインへの階段を下りていくと、「ヴァンドーム・ラ・シック・カイセキ」のオケが流れてくるのが聞こえました。つまりそれは、我々のリハの時間が既に始まっている事を示していました。私は愛想笑いをしつつ「ごめんなさいー。じゃ、「フロイドと夜桜」やりましょっか」と言うと、松村君は「うっす」と小さく言ってオケを流しました。

 松村君の歌は何気ない鼻歌を含めて、多分1万回位は聴いてると思うんですが(また大袈裟だって言われるかな)、その一万回(未確認)の中で一番ヘロヘロなフレーズが耳に飛び込んできたのでした。思わず、「な、な、な、なんで……(以下、これ以上のユニット内摩擦を避ける為に略)」という言葉が口をついて出てしまいました。「遅刻してきて、それは無いじゃないですかっ!」と返され、ハッと口を噤みましたが、時既に遅し。いやね。ホント。松村君って言う人は、こと歌に関してはコンスタントに高レベルを維持してくれているという印象があってェ……、私も知らず知らずに気合だけは入っていたので、つい……(余談ですが、松村君はその夜の夢の中でも、私に酷い事を言われたらしいです・苦笑)。すみません。

 松村君ばっかり歌っても(「フロイドと夜桜」は男声メインの曲)リハにならないので、SWEETSをやりました。そして、体力が勿体ないので(この一ヶ月程、我々は揃いも揃って不眠症と食欲不振に見舞われており、二人合わせて体重6〜7kg減だったりしたので)後は歌わず、松田君の新しい映像とのきっかけ合わせをやって終了しました。

 逆リハなので、次はテラッチでした。くくくく。もんの凄かったですね。本番よりある意味凄かった。凄すぎて、これもすぐ終わりました。

 そして、プリンビーのリハへ。時間が巻いたので、全曲歌う事が出来てました。私にとっては新曲ばかり。凄いレパートリーの増えよう。しかも、振り付けは結構複雑だし。

 ここで我々3人は抜けて、近所のモスバーガーに夕食を食べに行きました。注文をしてダラダラしていると、SIMONさん(今日はお客)がやってきたので驚きました。だって、まだ17時頃だったのに! 4人で下らない話や、他人の暗い話をしたりしながら、時間を潰していたのですが、クーラーがきつかったので逃げ出す事にしました。

 松田君と松村君は、近所にあるその筋では有名らしい自転車屋に行き、私は神社に行ってお祭りの花笠音頭を見ました。くるくると回る笠やキビキビと踊る男女の姿はとても美しく、小太りな親子の叩く暖かみのある和太鼓の低音が、小さな神社の中に程良く響いていました。私はぼんやりと眺めながら、いつまでも終わらないで欲しいと思っていました。

 客入れの時間を過ぎたようだったので、ループラインに戻ると、セーラー服姿のプリンちゃんが目に飛び込んできました。前日、「高島屋に(衣装としての)制服を買いに行く」と言っていたのは聞いていたのですが、ま、まさかセーラー服とは……。妙にしっくり来てるし……。恐るべし、東京おみまいプリン(結成10周年)。

 たけもんもテラッチも、お坊ちゃんスタイルのホモンズの衣装に着替えていました。しかし、二人とも見事なまでの太鼓腹です。プリンちゃんと私は、二人のお腹を交互に撫でる……というか、「このお腹オカシイよねぇ」と言いながらギュウギュウと押し気味に触りました。もっともっと太りたい二人は、私達の反応に余裕の反応。満足の笑みを浮かべていました。プリンちゃんはたけもんの、お腹だけじゃなくて体のあちこちを触っていたのには、すごくビックリしました。「ジュモーが言うなよ」って感じでしょうが……。

 時間が来て、ホモンズの出番。私は、ふたりが衣装を着て、ちゃんとアクトしているのを見るのは初めてでした。ホモのフリをしているノンケとノンケのフリをしてるホモが、くねくねと揃って踊ったり、強く繋いだ手を高く掲げ寄り添ってる姿を見ていたら、3日前に来たテラッチからのメールの文章が思い出されてきました。「一緒にバカなろう!」。本当に酷い。酷くて最高です。

 続けて、東京おみまいプリン。たけもんは、ちゃんと衣装を変えての再登場。おみプリは、彼らがアイドル路線でメジャーデビューしていた時期とかぶっている所為もあって、コンセプトがポップ。プリンセスプリンでは、全く喋らずしっとりとした雰囲気を作り上げている二人が、メチャクチャ元気ににこやかに踊ってるのは、前もって聞いていたとはいえちょっと驚き。そして、衣装だけでなく歌詞も(まぁ、歌詞に合わせた衣装だったんでしょうが)スクールガール風味。トミフェブ

 プリンビーに関しては、もうただただ可愛い。立っても座っても、揺れてもひねっても、回っても振り返っても、喋っても黙っても、なんて可愛いんだ! 今回、特筆すべきは、去年に比べて、二人の声質がとても厚くなった事。練習量を格段に増やしたらしいです。衣装は、色違いのレトロ柄のワンピースに手袋。小道具の文庫本に挟んだ栞が素敵でした。

 ここで、謎の『休憩タイム』とやら。たぶん、テラッチがお客さんと心理占いかなんかをやろうとしてたみたいなんですが、肝心のテラッチはすっかり舞い上がっていてそれどころじゃないみたいでした。

 織彦@東京都テクノ気レンジャー。前回、二人組だったテク気でしたが、今回はテラッチ一人。勿論私は、何故そうなったのか全部知っていて、このイヴェントが決まった時から、そうなる確率の方が高いんだろうなぁと思っていました。そして、そうなりました(苦笑)。今回のテク気の衣装は浴衣。0時を回って本番当日となった時間になっても、仕上がっていなかった歌詞を、小道具の団扇に貼り付けての登場でした。その歌詞カードが、1曲目イントロのいいタイミングで飛んで行ってしまう事により、ステージの方向が完璧に決まってしまいました。力業って言うか……、アクシデントの神様というか……、もう、なんなんでしょう。

 本当は最初から最後まで観ていたかったのですが、私も着替えたり、化粧を濃くしたり、アクセサリーはどれにしようかって迷ったりしなきゃいけなかったので引っ込みました。準備がほぼ整った状態でウロウロしていたら、ハルヲさんに「おお。そこまで真似するかー」と言って頂きました。今回は、黒いフォーマルなドレスにしたのでした。

 最後の準備をしてる所に、そわそわと松村君がやってきて、キ○ガイ騒ぎになっているステージの方を指して、「嫌がらせなくらい、変な盛り上がり方してるなぁ。客があのテンションになってる中、出て行きたくねぇ」と苦笑いしていました。松村君は、昼間から妙に緊張してずっと具合悪くしていたのですが、本番直前が一番悪そうでした。前回と同じ白いシャツだと言って来たシャツが、全然セクシーじゃなくて、裏で「えー。これだったっけ? 次はもっと違う素材のにしようよー」なんて私は言ったのですが終わってみると、見てる側には十分セクシーに見えていたらしかったですね(じゃ、アレでいいのかな?)。

 そして我々、JUMEAUX OBSCENESの出番。1曲目は「SWEETS」。ちょっと思い出せないんですが、何かがあったので、間奏のハイタッチで、松村君が強烈に私の手を打ったんですよね……。もの凄いいい音がして、私は手首が痛いなぁと思いました。

 で、MC。ジェンキンスさんネタから始まって、いつものコンセプト説明と「SPANK HAPPYをご存じの方アンケート」。会場にいる殆どの方が知っていて、さすがテクノのイヴェントなんだなぁと思いました(っていうか、後で聞いてみたら、殆どが我々のライヴを何度も観ている客だったらしいですね)。

 2曲目「フロイドと夜桜」。「SWEETS」では全然気にならなかったんですが、この曲を踊り出して、いつもよりも立ち位置が遠い事に気付きました。遠くてもみんな面白がってくれたんでしょうかね。

 続けて3曲目「普通の恋」。私はどうだったか分かりませんが、松村君の歌に関しては、今まで聴いた中で一番良かった。MDの録音ボタンを押し忘れた事を悔やみます。とは言え、いつものように、ふたりのダンスの方は全く合わず。合わなければ合わない程、面白くてたまらなくなって、後で何人もの人に「なんで、間奏でずっとニヤニヤしてるの?」と訊かれてしまいました。

 飛び道具だらけのMC。お互いに、言われたくない内容の話ランキング30位以内の話に関しては全く触れませんでしたが(なんと美しい友情でしょう)、思わず私が「恥ずかしい!」と叫んでしまった、携帯電話の話をされてしまいました。やー。冷や汗出ましたよ。そして、ついつい毒舌の応酬に。

 4曲目「Theme song under the cludy heavens」。本当は次の曲の事を考えて喋るべきだったんでしょうけど、そんな余裕なんかありませんでした。たけもんによるこの曲のアレンジは、本当に美しくゆったりとしていたのに、私の気分はもの凄く急いていました。「I love you」だけでも、極小のヴォリュームで優しく歌いたかったのですが、多分、出来てなかったと思います。この曲は、振り付けがないのですが、まぁ、無い曲があってもいいかなって事にしてしまいました。間奏の所では、雑談をしました。確か、「誰かイヴェントに呼んで下さい」とか、そういう事を話したと思います(本当に呼んで欲しいです)。

 テラッチのわざとらしさ極まりないアンコールによるアンコール曲「ヴァンドーム・ラ・シック・カイセキ」。何の話の流れでそうなったのか、ちょっと思い出せないのですが、「本家のように1本のマイクで歌ってみよう」と言う事になっていました。本家と違う所は、我々がサビを本当に歌っているという所で、アレはPAの嫌がらせなんじゃないか、と思うくらいヴォリュームを下げられた(感じがする)ので、我々は必要以上に頬を寄せなくてはならなかったし、私の背中に回していた松村君の右手が、どんどん上がって来るので(なので後ろに振り返るという振り付け?が少ない回数しかできませんでした)、お客さんから見てもかなりくっついていたんじゃないかな、と思います(後で、「いい加減にしろ!ってくらいのやりすぎ具合が良かった」って言われましたし)。

 テラッチが出てきて、出演者全員で挨拶という事になりました。「一滴も飲んでないよ!」というテラッチの司会は、酔っぱらいとしか思えないもので、本当にメチャクチャだったんですが、友達に「身内で集まったイヴェントなのに、面白くない人が一人も居ないって、どういうことですか!」と言って貰えたように、本当に面白かったです。

 着替えて出て行くと、半分くらいのお客さんが帰った所でした。ハンさん(SPANK HAPPYの「麻酔」その他のナレーションを担当された方)が声を掛けて下さって、初めて普通に話す事が出来ました(「東大にもぐりに行きますよー」と言いながら、まだ一回も行けてないんです。その話をするの忘れました)。

 機材の片づけが4割方終わったような時間に、川西夫妻(松戸在住)がやってきたのには本気で苦笑しました。駅降りる前に気づけよ!

 荷物を纏めて帰ろうとすると、何人かの人に飲みに誘われましたが、朝まで飲む体力が残ってなかったので帰る事にしました。3人ともぐったりしながら、「面白かったし、楽しかった」と何度も言いました。

 ライヴが終わって、圧倒的に反応があったのはやっぱり「普通の恋」。初めて聴いても耳に残る歌詞なんだな、と改めて思わされました。本当に名曲だと思います。日々、古くなって行ってますけど。次が、「ヴァンドーム」のパフォーマンスですね。コウノさんなんか、「やりきれてたと思いますー。次からの振り付けは、もっとセクシーな感じのにしましょう」なんて言ってました。ちょっと恐いなぁ。出来るのかしら。