今日見た夢

 Eがいつも通勤に使っているというバスに乗った。1番後ろの席に、目を閉じて座るEの姿を見つけ、私は近寄った。知らないおばさんが、Eに「座席に置いてある荷物を退かしてくれない?」と言い、彼が目を開けて鞄を退かした時、私が立っているのに気が付いた。「元気?」と言うEは、少し嬉しそうな顔で笑っていたが、私はどんな顔をしたらいいか分からなかった。私は、その質問に答えず話を進めた。

「通勤とも実家とも違う場所なのに、このバスに乗るの?」
「家を見て回ってるんだ」
「この辺りに引越すの?」
「引越しは、考えてる。でも外に」
「山手線の?」
「いや、日本の」

 Eはちょっと真面目な顔をして、「康乃が、一緒に来てくれたら嬉しいんだけど」と言った。私は迷っていた。しかし、別の心を持つ私は言った。「優しそうにしているのは今だけ。過去を忘れたの?」。

 私たちはバスを降りた。少し歩くと広場に遊戯器具のコーヒーカップがあった。Eは駆け出してカップの一つに乗り、私を手招いて呼んだ。私は恐る恐るカップに乗った。Eは楽しそうに笑っていた。

 私はEと楽しく過ごす日の事を想像したが、すぐ次の瞬間、私にはOを置いて家を出る事は出来ないだろう、と思った。Oは、男の姿をした私なのだ、と思った。泣きながら起きた。