"朝日美穂 Live"@lete 下北沢

 昨日は、相方松村君と朝日さんのライヴに行って来た。休日なのに、「じゃ、待合せは会場で」とか、大変素っ気ない。もうちょっと付き合ってくれても良いのに!と軽く不機嫌になったが、まぁ、忙しいのでしょう。前回のlete待合せの時もそうだったけど、私はいつも、その手前のミスドで時間を潰す。下北は私の中で、かなり異国感が高い。今日は何故か、韓国の方が多く、両脇を固められ、小旅行気分を味わった。

 今朝の私は、いつものようにBad Spailal入っていて、暇に任せ、ベッドから起き上がりもせずに、「どんな風に死ぬのが一番幸せか」「幸せとは何か」について考えていた。ひょっとしたら今日は声が出ないかもしれない、と思うくらいあまりに落ち込んでいたので、ちょっとビクビクすらしていたが、飄々とした体で現れた相方の顔を見たら、ホッとしたのか、私は自分でもビックリするくらいの勢いで喋り出した。


 「よかったら、一緒に歌って下さいね」と言って始まった朝日さんのライヴの1曲目は。大好きな「唇に」だった。この歌は、離れて行った恋人に歌った歌である。『Oh my darlin' 唇に ふれていて 愛が伝わるのに』。だけど本当は、触れたって愛なんか伝わらないのだ。愛は宗教と同じ。同じ世界に居なければ意味の無い価値観なのである。と、独り言は置いておいて(苦笑)、本当に切ない歌。朝日さんの声は言うまでもなく素晴らしく、隣で歌う相方の声も(身内贔屓だが)良かった。私はもう1曲目から泣いていたが、松村君がそれに気付いたのは、2曲目の「ムーンライトシンフォニー」だった。

 1stも2ndも、じんわり染みるように素敵だったのだが、サポートで入っていた高橋健太郎さんの演奏が何故かウダウダで、朝日さんはまるでリハーサルスタジオに居るみたいに、「もう! 今日は居残り練習だっ!」と笑いつつも声を荒げて言っていて面白かった。これに絡んで、ちょっと他では訊けそうも無いような事をステージでおっしゃっていて、ちょっと得した気分になった。

 そう言えば、どのタイミングで口にされていたのかは忘れてしまったけど、「厄年」について話されていた。「芸能人は厄払いをしない方が良いんですって。厄と役を掛けて、厄払いをすると“役が付かなくなる”らしいんです」と。ミュージシャンも、“役”が関係あるのかしらね? 私は芸能人ではないけど(そういえばこの間、Oさんに、「一度、アイドルになった人は、ずっとアイドルと呼ばれるものなんですよ、やすのさん」と言われましたが……。いやいやいや、いつ、私がアイドルと呼ばれていた事があったんですか? 本人が知らないのに、ありえないでしょう)、厄年という観念を信じていない為、厄払いをしなかった。確かに、厄年近辺は大変な事ばかりだったが、厄払いをしたからと言って、あの頃にあったいくつもの厄介事が、私の身の上に起きなかったとは思えないね。


 帰り道、私は松村君に、「幸せって何?」って、どこいつのトロみたいな事を訊いてみた。

「え? それは、“不幸じゃない”って事じゃないですか?」
「そうか。じゃぁ、私は“幸せ”という事か……。松村君は? 松村君は幸せ?」
「そういう観点で言えば、幸せですね」
「そうかー。幸せかー。いいねぇ。……あ! だから私、太ったのかー。だって、よく幸せ太りって言うもんね。……と言うことは、私は不幸で痩せたのか? 15kg近く痩せたもんなぁ。うーむ」
「(苦笑)……しかし、“藤澤康乃”が幸せで太ったのは良い事として、“JUMEAUX OBSCENES 康乃”として太ったと言うのは良い事なのでしょうか?」
「良くないね。うーん。真剣に痩せなくては! 私、今日、華奢な朝日さんを見て、改めて思ったもん。やはり、人に見られる人というは、あんな体型じゃないと駄目なんだろうね」
(以降、ダイエットの話)

 ここ数日、数年前に母が私に言って聞かせた言葉を思い出している。「人生とは、地獄を耐え抜いて行く事」。母の人生が、どのくらいの地獄だったのか解らない。どんな人生も、歩いて来ているその本人にしか解らないものだから。私はこの言葉に本当に苦しめられたし、今現在も苦しめられている。私には、この先どんな地獄が待ち受けているのか、穏やかな日々を少しずつ送る事が出来るようになっている今、恐ろしくて仕方が無い。私に耐える事が出来るのだろうか。……でもまぁ、その時には、間違いなく痩せる事が出来るんだろう。不幸中の幸い。


「松村君。あのね、私、ダンスを習いに行ってみようと思ってたんだけど、あの、簡単な、ジュモーの振付けでさえ難航してるのに、ダンスを習うってどうよ?って思ったのよね」
「いや、出来ていないからこそ習う、と言うのは至極真っ当な理由だと思うけど?」
「あぁ! そうね! 確かにそうかも!」

 この後、気が付いたら終電の時間になってしまうほど、一人勝手に(いつもですが)話は白熱していくのですが、それを書くのはもう少し経ってからにします。

 1st
1.唇に / 2.TSUBOMI / 3.??? / 4.ムーンライトシンフォニー / 5.バスタブライムス / 6.FRIENDS / 7.らせんの物語 / 8.Eternal Flower
 (5〜8.with 千ヶ崎学(b))
 2nd
8.momotie / 9.ブラックキューピッド / 10.夏の主 / 11.日蝕 / 12.西の空へ
(8〜12.with 高橋健太郎(g), 千ヶ崎学(b))
 Encore:
En1.ラパン / En2.しあわせをうたおう
 (En1.with 千ヶ崎学(b))
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