久し振りに上海小吃へ

 「上海小吃に行きたい!」と言ったら、たすく君が「じゃぁ、康乃さんの入学祝いって事で集まりましょう」と言ってくれたので、久し振りに上海小吃に行ってきた。言わずもがな、なんて事ない料理が抜群にうまい店。歌舞伎町の裏路地の中にあって、女性はちょっとひとりでは行きづらい所。そもそも、中華料理は大勢でワイワイ食べる物だし。

 学校が終わるのは16時半で、新宿駅前での待ち合わせは19時半。3時間も時間があった。3時間……、何しよう。初めは、漫画喫茶行って、「うしおととら」の続き、16巻以降を読もうか、もしくは、学校の先生のお奨め漫画で、アニメは見たけど漫画は読んでいない「ベルサイユの薔薇」(フランスの土地勘や歴史的なものが分かるから)でも読もうかな〜と思ったのけど、最近殆ど出来ていない、編み物で時間を潰す事にし、今編んでいる途中の物(セーター)を学校に持っていった。

 今編んでいるのは、広瀬光治さんの編み図(「毛糸だま 2005 秋号」掲載)を元に、シェイプを自分に合わせ変えた物で本当に可愛いの。編んでいて、模様が増えていくと本当に楽しい気持ちになる。持ち歩いていると我慢出来なくなったので、昼休みに編んでいたら、クラスの女の子達に「わー、可愛い」と評判だった。さすが、『ニットの貴公子』。「私も昼休み編もうかな〜」と言う人が何人も居たので、お喋りしながらみんなで編めたらいいなぁ、と思った。


 学校が終わって、待ち合わせ時間まで時間を過ごそうと思っていた喫茶店に行く前に、丸井 ヤング館に行く事にした。私のココログの方の日記にトラックバックしてきた人のブログで紹介されていたコルセットの店「Excentrique(エクサントリーク)」を覗いてみたかった。勿論、衣装参考の為で、所謂冷やかしなんだけど。

 エクサントリークは、フロアの奥の方にあって、お客も少なく、暗い照明で入りづらかったのだけど、モジモジしてても時間が勿体ないので、普通に入って行く事にした。店員さんの声がとても静かで柔らかかったし、私が入ってすぐ数名が続いて店に入ってきて、何となく和らいだ雰囲気になった。ふんわりと大量にレースを使ったチョーカーやヴェルヴェットのグローブが気になったが、次の衣装としては相応しくなかったのでちらりとだけ見た。それよりも、私が胡摩嬢に「こんな感じは?」と言ったものにかなり近くてちょっとゴージャスなコルセットが置いてあってビックリした。確か26kくらい。素敵だな、と思ったけど、ステージ映えするかどうかは微妙だと思った。

 時間はまだあったので、ヤング館の更に上の階を目指した。8FのKERA SHOPに沢山のウィッグが飾ってあって、「試着ご希望の方はお申し付け下さい」と書いてあった。ここで扱っているウィッグはプリンちゃんも持っていて、安い割に質はいいのだ。早速、色々試着させて貰う事にした。

 改めて、丸井 ヤング館 8Fを紹介しよう。このフロアは、全てがロリータ一色。しかも甘ロリなのだ。私がいる場所の反対側には、プリンちゃんがその昔、務めていた「BABY, THE STARS SHINE BRIGHT」がある。そんな世界の中にワタクシ。ブルージーンズに黒いオフショルダーのセーター、革ジャン、である。浮きまくり!である。気にしませんけど(苦笑)。

 髪を纏め、暗めブラウン、前髪パッツンでゆるい縦ロール、ロングヘアの甘々女の子ウィッグを頭に乗せると、鏡の中の私は、まるで“シューッ”と音でもしそうな感じで顔が変わって行った。「服ごとに顔が変わるよねぇ」とは言われていたし、自分でも自覚していたけど、変わる瞬間を初めて見た。笑えた。一緒に見ていた店員のお姉さんも軽く驚いていて、暫く黙って私の顔を見ていた。「今の服ではイメージが掴みにくいと思いますから、何か、ワンピースでも着てみますか?」と言ってきた。このまま服を変えると、上海小吃モードに戻すのが大変そうだったので遠慮した。ウィッグはすっかり私の顔と馴染んでいた。お姉さんに、「その位の落ち着いた色なら、普段着でも合いますね」とまで言われた。リップサーヴィスかも知れないが……。


 待ち合わせ時間1時間前となったので、MY CITY 1Fに入ったスタバの窓際の席を陣取り、コーヒーを飲みながら編み物をして過ごした。「ゆったりとしちゃってるなぁ」なんて、満足していた。暫くすると、いつも待ち合わせ場所に30分前に到着する男、たすく君が到着し、「おめでとうございまーす!」と行って、可愛いクマ柄の包装紙に包まれた箱をくれた。中には、木製のシックなシャーペンが入っていた。「シャーペンって、あんまり使わなくなるから、持ってないと思って」と。ううう。たすく君が就職するか、たすく君企画の店が開店した暁には、何かお返しをしなくてはねぇ。有難う。

 そうこうしているうちに、松村君からメールが「15分遅れます。アレだったら先行ってて」と。“アレだったら”とは何だろう? アレ……。「何でしょうねぇ」とたすく君も。“予約時間に間に合わなさそうだったら”とか“寒かったら”とか“待ち飽きたら”とか“松村君が嫌いだったら”とか“散歩がしたくなったら”とか、色々当てはめてみる。アキちゃんのとエリちゃんが来て、少し待ってみたけど、結局寒かったので「歩こう」と言う事になり、先に店に行く事にした。

 いつものようにレイコさんは、ちっとも人の話なんか聞いてなく、私の顔を見て「あーっ!」と言い、「あ、全然知らない人だった」と言った。また、誰かと間違えられた。本当によくある顔だ。飲み物と料理を数品頼むと、レイコさんはたすく君に「おにいさん。もう、飲み物は適当に買ってきて。持ち込んで良いから」と言い投げた。たすく君は「はっはっはっ。2杯目からもう持ち込み推奨かよ!」と笑った。ご近所効果だろうか?

 お腹の調子が悪く、アキちゃんは前日絶食をしたらしい。その所為か、するりとした綺麗な顔をしていた。そんなアキちゃんから枡野さんのデビュー本を貰った。とても可愛らしいイラストの入った本である。枡野さんは、今とても暗いが、前はそこそこ暗い感じだ。この本には暗さの入り口を感じる。入り口なのか、遠慮なのか、残る不器用さなのか、よく分からないけど。有難う。

てのりくじら―枡野浩一短歌集〈1〉 (枡野浩一短歌集 1)

てのりくじら―枡野浩一短歌集〈1〉 (枡野浩一短歌集 1)


 料理が並び始めた頃に、松村君が私達の居る別館に到着した。エリちゃんは松村君を見、「松村さん、今日も普通の髪型なんですね」とちょっと残念そうに言った。松村君は「私の事、みんな“いつも突飛な髪型をしていた人”と言うけど、今は落ち着いた髪型で行こうと思っているので、期待しないで下さい」的な返事をしていた。私も、数年前は年相応、若しくは、大人っぽく見えるような髪型をしようと思っていた時期があって、長く黒髪にしていたけど、そのうち飽きた。これまで月に2回くらい美容院に行って、変わった髪型にしていた男が、いつまでそうしているのか、私は楽しみに見ていたいと思う。

 エリちゃんに教える約束をしていた、前のバイト先で流行した「巨乳体操」を教えた。「えー。これだけ? こんなに簡単で効くのかなぁ?」と、この話題でもまた姫を満足させられなかった(笑)。エリちゃんが左腕を挙げると、脇の下に小さな穴が空いていて、酔っていた私は「あっ。穴が空いてるよ!」と言うと同時に指でその穴を押さえてしまった。押さえてから、もしかして肌に触れてしまったかも、と恥ずかしく思った。エリちゃんも「恥ずかしい!」と笑いながら言って、一呼吸置いてから、「穴が空いている事は知ってたんです。知っていて、見せたかったんです」と言った。凄い可愛い悪戯だ、と思った。本当に可愛い人。

 振り返ると肉系の料理は頼まなかった。色々な野菜の炒め物と鍋を頼んだ。レイコさんが「お奨め」と言った料理は、明らかにオーダーミスで余った料理で冷えていた。酷い! 面白い! 白菜が美味しくて、松村君が白菜鍋の後に、白菜のスープを頼んだ。ほぼ同じ味だった。酷い! 面白い!

 「いっぱい食べちゃったなー」と言うと、松村君が「そういえば、本当に痩せられるの?」とか言う話を出してきた。「衣装、痩せた後のサイズで作るんでしょ? 痩せなかったら、別の女の子と一緒にやるから」と、言うので「なによ。松村君こそ、新曲出来るの?」「出来るよ」「出来なかったら、私が他の男の人と出る!」「じゃぁ、対バン」とか言う流れになった。たすく君が、「もはや原形を留めてないじゃないですか! ジュモーじゃない!」と笑った。まぁ、私は痩せるし、曲は出来るんだよ。うん。

 曲と言えば、mixiのJUMEAUX OBSCENESコミュで次のライヴ候補曲リクエストのトピックを作ったんですが、「あれ、どうせリクエストなんて通らないんでしょう? だって、演奏時間とか並びとか、色々あるじゃん!」って言われてしまった。「それでも書く、俺たちですよ!」と。有難い事です(松村君、日記書いて下さい。あと、母屋のギャラリーも更新して下さい)。


 満腹のニコニコ顔で店を出、徒歩30秒程の所にあるB店を確認に行った。私は、B店で客引きをしているという吉本興業の鈴木さん(仮名)に会いたくて、「いないかな? いないかな?」と騒いでいたが、誰も(B店で働く他の吉本芸人も)居なかった。ガッカリしながら、みんなでパセラに行った。歌ったのは、たすく君と松村君と私で、アキちゃんとエリちゃんは横で見ていた。人に聴かせる為のカラオケの練習に行った方が良いかも知れない。松村君の歌を聴いて、「やっぱり、松村君の歌が好きだなぁ」と思った。

 カラオケを出て少し歩いた所で、たすく君の携帯が鳴り、彼は夜の歌舞伎町へと消えて行った。また、眠れないんだなぁ。たすく君は今の生活になって、5kgは痩せたんじゃないんだろうか。毎日、焼き肉とマクドナルドのハンバーガーを食べて居るけど、それ以上に、10時間以上座れずにいて、走ってはしゃがんだり、屈んだり反ったりして消費してるんだと思う。


 私は小吃でもカラオケでも、何故かヒロキの悪口を言いまくっていた。たすく君が、「ヒロキと一緒にいる時の康乃さんを見ると、『康乃さんって、こんなに怒りっぽい人だったかなァ?』と思うよ」と言った。確かに怒ってばかりな気がする。怒るのは疲れるので、本当は怒らせないで欲しい。ヒロキは「叱って」オーラが出てるんだと思う。今回の上海小吃にも一応たすく君づてに誘ったが、「みんなで、俺に犬を食わせて苛めるんだろう? だから行かない」とか答えたらしい。あはは……。犬を使って苛めたかどうかは分からないが、結果的には苛めることにはなっていたと思う(苦笑)。

 松村君が、「康乃さんって、冷たい人にはとことん冷たいよね。こっち側で(酷い事を言われまくる人に選ばれなくて)良かった」とか言っていた癖に、帰り際、『私が最近ヒロキに言われてむかついた台詞』のパロディを口にして、私を怒らせようとしていた。全く……。なんて、怒られたがる人が多いんだ。「その程度では怒れませんよ」、そう言って、私だけが中央線に乗った。楽しかった。