「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」

 「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」(http://www.dialoginthedark.com/)に参加してきた。

 目の不自由な白鳥さん(通称タコさん)という方の案内により、10人のグループになった私達も白い杖を頼りに、本当の暗闇である会場を約1時間の散策。

 多くの人が感想で述べているように、目が見えると者というのは、如何に視覚に頼って生活しているのかと言うのが解る。目から入る情報が失われると、こんなにも聴覚や触覚に敏感になるのかと不思議な感覚。床や空気が微妙に震えるのを感じたり、些細な音も真剣に聞き入ってしまう。

 参加型の展覧会は、一緒に参加する人の個性が大きく影響する。今回、私が参加したグループは、全員が外向的な性格の人で、殆どが一人で参加している(誰か知り合いと一緒に来たわけではないと言う意味)にも関わらず、視覚がある場所で説明を受けている時点から、信じられないくらいの打ち解け方をする人たちばかりであった為、暗闇でももの凄いチームワーク(というのか?)を発揮したので、大いに楽しむ事が出来た。

 私は、皆さんがあまりに情報を発信するので、一番最後尾について殆ど喋らず、何かイヴェントがあっても、傍観して過ごした。そうやっている自分も面白かった。

 ネタバレだが(マツムら君は行けそうにないと言うので)、ホームを体感する場所での、「この発車ベルはどこでしょう?」の問いに、「新宿駅、11〜12番ホーム」と即答された方や、野球場を体感する場所での「この応援歌はどこのでしょう?」の問いに、「ベイスターズ?」と答えた方などがいて、本当に盛り上がった。

 入場料に含まれているワンドリンクは、会場内のバー『暗闇』でいただくことが出来る。暗闇の中で渡されたグラスに、暗闇の中でウエイターが酒を注ぎ、暗闇の中で杯を重ね、暗闇の中でいただく。視覚があれば何気ない事だが、暗闇の中だと本当に特別のような気がしてきて楽しい(今だけだから)。とにかく、注ぐというのが凄い。

 終了して、明るい場所でグループで歓談タイムがもうけられるのですが、暗い場所では触れ合う事も気にせずに居たのに、明るい場所では言葉を交わすのすら少し躊躇を感じたりするなんてこともあって(知らない人同士で飲み物を交換している人も居た)、それもまた不思議で面白くもありました。

 会期は、9月4日まで。お時間のある方で暗所恐怖症でない方は、行かれたら宜しいかと思います。訳も分からず連れて行かれたのですが、面白かったです。