限りなく青に近い鳥 

 「私の街にはきれいな男の子なんていないんだもん♪」なんて歌いながら、昨日、隣町の紀ノ国屋まで片道15分くらいかけて歩いて出掛けました。たまには美形の野菜を買いたいじゃない。本当に、家の近所では……(略)。

 ついこの間、出掛ける途中にちらりと立ち寄った時、「ち、ちょっとコレ、おきなわ物産店で7〜800円で売られてるレヴェルの質じゃないの?」と軽く興奮を覚えてしまう、張りのある大きなゴーヤが300円位のセール料金になっていたのです。取り敢えず、それは買わなくてはね。後は、素揚げした茄子と蓮根が食べたいな。

 出掛ける前、なんとなく、パスタが食べたかったので、家のストックを見ると奥の方にcappelliniが! この天使(の髪の毛)はいつからここに居るんだろう……。思い出せないので、夏だし野菜たっぷりで冷製でも作るかなぁ。


 駅からちょっと離れた場所にある紀ノ国屋吉祥寺店は、雨の影響を加味しても夕食時とは思えない閑散とした店内。「採算合うのかしら? そのうち潰れるんじゃないの?」という雰囲気(苦笑)。成る程(?)、並んでる野菜達はインターナショナル店と比べると、1〜2段階落ちる感じ(とは言っても、家の近所のとは段違いの可愛いコばっかりなんだけど)。

 一通り野菜を選んで、塩のコーナーへ。クレージーソルトのセロリーが欲しかったの。この間、池尻大橋にある友達の店、『ito』に行った時、ゴボウの唐揚げに添えて出てきて凄く美味しかったから。……でも、売ってませんでした。代わりに、正月に叔母がいつもくれる海人の藻塩が売ってました。せんひゃくえんん!(100g) ビックリした。紀ノ国屋価格なのかな? 確かに甘味と深みがあって美味しいけど。

 乾物など飛ばして、サラミのコーナーへ。私には、ずっと探してるサラミがあるのです。1998年の秋、当時はまだ3つ星だったローマのHotel Columbusに2泊したのですが、そこの朝食に出てきたサラミが超絶に美味しかったんです。蓮華のような野の花の香りが噛んだ瞬間に口に広がるんですよ。せめて似た味を自宅でも食べられないかとずっと探してるんです(勿論、紀ノ国屋インターナショナルやあちこち店でもいくつか買いました)。確か「康乃の自問自答」で書いたと思うので数年前、表参道の旧『Friench Quarter』(現:Locanda F. Q.)で、ランチのサラダに乗ってきたサラミが似たような味で、店員に言って、グラム売りしてもらった事があったっけ。

 そんな私は今回も、まずは真空パックされた丸のサラミコーナーの前に書いてある文字と睨み合いし、そして、デリカテッセンのガラスケースの中にある切り売り出来るサラミと睨み合い。結局、「サラミ・フェリーノ」(750円/100g)と言うのを、店員さんの薦めに従い10枚購入しました(もっと、売りつければいいのに。良心的なおじさま店員さんでした)。

 帰宅し、夕食を作り始める前に待ちきれず、サラミを食べました。美味しい。口の中に広がる脂分が上品。とは言え、“あのサラミ”とは違う感じでした。少しガッカリしながら、冷蔵庫に入れました。

 一晩経ち、今日になってこれを書きながら、思い出して食べてみると……「!」。かなり、かなり近い味です。冷やす事によって、脂肪が口の中で溶けるまでに時間がかかり、その香りが鼻の奥に届くタイミングが遅れるからでしょうか? 野の花の香りがしました。

 嗚呼、もしかしたらこれまで、私はせっかく楽しみに買ってきたサラミを適温で食べていなかったのかも知れません。冷めたピザみたいなもの? ショック……。馬鹿。私のバカ──!

 とは言え、歩いて15分の所にずっと探していたサラミに近い物が売られている事が分かったのでいいのです。昨日買ったサラミは、もう独りで全部食べてしまいました。無くならないうちにまた買いに行かなくては。